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 池田和子さんからの通信

鶴岡産直施設『百万石の里・しゃきっと』の活動

山形県鶴岡市は人口10万余り、米どころ庄内平野の町ですが、農業はかつてない厳しい状況のなかにあり、この厳しい時流をどう乗り越えていけばいいのか、わたしたち農村女性の模索も続いています。

平野部、山地、砂丘地とそれぞれに特徴を持つ鶴岡では、孟宗、茗荷、枝豆、メロンなど地域の名前がつく特産物の宝庫でもあり、これらの産物を使った加工品も『母の味』として受け継がれてきました。そこで女性たちは品質を高めて商品化に力を注ぎ、消費者と手を結んだ実践活動も活発に展開しています。たとえば「食と農を語る会」や「食の技術交流」など、特産物と農村行事と食との係わりを考える展示や交流も行われてきました。こうした活動が消費者に、作り手の顔が見える関係を作り、鮮度のいいものを安心して食べてもらえる、また食べたい欲求へと結びつき、改めて産直活動へ取り組む機運も生まれてきのです。

しかし、年間を通して提供する生産物がない、車に乗れない、施設の当番に出る人がいないなど、下準備の打ち合わせ会ではこまごました間題も山積して、産直施設の立ち上げには時間がかかりました。けれど、真剣に前向きに取り組んだ女性たちが、地道に一つ一つ理解してもらう努力を重ねて、全員の合意に漕ぎ付けることができたのです。

平成13年6月、鶴岡市内の一角に鶴岡産直施設『百万石の里・しゃきっと』が組合員164名で誕生し、いまは順調な出足を見せています。わたしは当初から生活指導員のひとりとして施設の立ち上げにかかわり、ともに苦労の中で学んできたのですが、多くの女性が施設の当番として消費者に接する機会が増えたことで、改めて地域農業への意欲が増し、「家族でともに農業を語れるようになった」と顔を輝かせて話し、より新鮮で安全な農産物への意欲が組合員の連帯感も強めているのを痛感します。私事ですが、この4月から地産地消推進員ということで庄内総合支庁農業振興課で働くことになり、さらに深く庄内の農業とかかわり、こちらの農業農村情報をお伝えすることができると思います。

池田和子(山形県酒田市)

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